今回は、多くの人が悩む「どのiPadを買うべきか」という疑問に、実体験を交えながらお答えしていきます。結論からいうと、ほとんどの方には最安値のiPadで十分です。なぜそう言えるのか、徹底的に解説していきましょう。
はじめに:最新iPadラインナップを知ろう
2025年現在、Appleが提供しているiPadシリーズは主に以下の4種類です。
- iPad(第11世代):最もリーズナブルな標準モデル
- iPad mini(第7世代):コンパクトさが魅力の8.3インチモデル
- iPad Air:M3チップ搭載の中級モデル
- iPad Pro:M4チップ搭載の最上位モデル
価格差は大きく、基本モデルとPro最上位モデルでは10万円以上の開きがあります。この差は本当に必要なのでしょうか?
Appleは「アップセルの達人」である
まず知っておくべきなのは、Appleが「プライスラダー戦略」のエキスパートだということです。次のグレードがわずか数万円先にあり、「ちょっと追加するだけで大幅な機能強化が得られる」と思わせる戦略です。iPhoneシリーズでもよく見られる手法ですね。
私自身、過去に「せっかくだからもう少し上のモデルにしよう」と考えてiPad Proを購入しましたが、実際に使ってみると普段使いでは基本モデルと大差ない体験でした。この体験から言えることは、特別な用途がない限り、基本モデルで十分だということです。
実は基本iPadは「圧倒的に過剰性能」
第11世代iPadのA16チップは、日常使いのアプリを快適に動かすには十分すぎるほどのパワーを持っています。
- SNSアプリ(Twitter、Instagram、Blueskyなど)
- 動画視聴(YouTube、Netflix、Amazon Prime Video)
- 基本的な文書作成(Pages、Google Docs)
- メール、ウェブブラウジング
- カジュアルゲーム
これらはすべて、最も安いiPadでもサクサク動作します。実際、私の妻は第10世代iPadを使っていますが、動画編集などの特殊な作業をしない限り、処理速度で困ることはまったくありません。
上位モデルが必要になるのはこんなとき
とはいえ、特定の用途には上位モデルが適している場合もあります。具体的には:
1. プロフェッショナルな創作活動をする場合
- Final Cutでのビデオ編集
- Procreateでの本格的なイラスト制作
- 3Dモデリングやレンダリング
これらの作業は、M3/M4チップ搭載のAirやProの処理能力が活きてきます。私の友人で映像クリエイターをしている人は、iPad Proで4K動画の編集から書き出しまでをこなしていて、「これがないと仕事にならない」と言っています。
2. 本格的なマルチタスク作業が必要な場合
複数のアプリを同時に使い、効率的に作業したい方は13インチのiPad AirやProが便利です。例えば:
- 参考資料を見ながら論文を書く
- ビデオ会議をしながらメモを取る
- 画像編集をしながらクライアントとチャットする
私は在宅勤務の日に、13インチiPad Proを外部ディスプレイに接続して使用していますが、Stage Managerを活用することで、まるでMacのような使い心地です。
3. Apple Intelligence(Appleの人工知能機能)を使いたい場合
Apple Intelligenceは基本iPadにはなく、M2以降のチップを搭載したモデルでしか使えません。ただし、現時点でこの機能はまだ発展途上で、2025年後半まで多くの機能が延期されているため、これだけを理由に上位モデルを選ぶ価値は薄いでしょう。
iPadアクセサリの互換性:本当に最新が必要?
各iPadモデルで対応するアクセサリも異なります。
Apple Pencil
- 基本iPad:USB-C Apple Pencil/Apple Pencil(第1世代)+アダプタ
- iPad Air/Pro:上記に加え、Apple Pencil Pro対応
キーボード
- 基本iPad:Magic Keyboard Folio、Smart Keyboard、各種サードパーティ製キーボード
- iPad Air/Pro:Magic Keyboard(トラックパッド内蔵の高級モデル)
個人的経験から言うと、イラストのプロでなければUSB-C Apple Pencilで十分です。私も趣味でイラストを描きますが、細かな筆圧検知が必要な専門的な作業をしない限り、基本モデルのペンシルでも快適に使えています。
キーボードも同様で、私はサードパーティ製の安価なキーボードケースを使っていますが、ブログ執筆などの文章作業には何の不便もありません。
ストレージ容量:多すぎるは無駄になる
iPadのストレージは、一度決めたら後から増やせません。とはいえ、クラウドサービスが発達した現在、必要以上に大容量を選ぶ必要はありません。
- 128GB:基本的な使用、ストリーミングメイン、写真や動画をクラウドに保存する人向け
- 256GB:アプリをたくさん入れる、オフライン動画をある程度保存したい人向け
- 512GB以上:大量の写真・動画を保存、プロ用アプリで作業するヘビーユーザー向け
私の使用状況を例に挙げると、256GBのiPadを2年使っていますが、現在の使用量は約150GB。Netflix作品のダウンロードや、仕事用のPDFファイル、写真編集用の画像などを保存していますが、まだ余裕があります。
画面サイズ:持ち運びと視認性のバランス
iPadの画面サイズは大きく分けて3種類:
- 8.3インチ(iPad mini)
- 10.9〜11インチ(基本iPad、iPad Air、11インチiPad Pro)
- 13インチ(iPad Air、iPad Pro)
用途に応じた選び方としては:
- 主に持ち運ぶなら:iPad miniかコンパクトな基本iPad
- 家でメインに使うなら:11インチモデル
- ノートPC代わりに使うなら:13インチモデル
私は通勤時に電子書籍を読むためにiPad miniを持っていますが、その軽さと片手で持てるサイズ感は電車内での使用に最適です。一方、自宅では大きな画面の13インチiPad Proを使い分けています。
実際の使用体験:基本iPadと上位モデルの違い
私の家族では、私がiPad Pro(2022)、妻が基本iPad(第10世代)を使っています。日常的な使い方では、正直なところほとんど性能差を感じません。
具体的な使用例を挙げると:
- Netflixでの映画鑑賞:両モデルとも快適に視聴可能。Proの方が画面がきれいですが、基本モデルでも十分美しい映像です。
- SNSの利用:どちらも操作のレスポンスに違いはありません。
- ウェブブラウジング:複数タブを開いても、基本モデルでもサクサク動作します。
- メモ取り:ペンシルでのメモ書きも、基本モデルで十分快適です。
差が出るのは以下のような場面:
- 写真編集:大量の写真をLightroomで編集する際、Proの方が処理が速い
- ビデオ会議:センターステージ機能の精度がProの方が高い
- マルチタスク:複数アプリの同時使用時にProの余裕を感じる
iPad購入前の自己診断チェックリスト
以下の質問に「はい」と答えるものがほとんどなければ、基本iPadで十分です:
- 専門的なクリエイティブ作業(動画編集、イラスト制作など)をメインにしますか?
- 複数のアプリを同時に開いて作業する必要がありますか?
- Apple Pencil Proの高度な機能(ホバー検知など)が必要ですか?
- Thunderbolt対応の周辺機器を接続する予定がありますか?
- 外部ディスプレイを使った拡張デスクトップ環境が必要ですか?
私の周りのiPadユーザーの90%以上は、上記の質問に「いいえ」と答えています。そして彼らは基本iPadで何の不満もなく使用しています。
おすすめの最安値iPadモデルと活用術
現時点でのベストバイは「iPad(第11世代)128GBモデル」です。価格は約5万8800円から。この1台で以下のことが快適にできます。
- 動画視聴・音楽再生
- 電子書籍読書
- インターネット閲覧
- メール・SNS利用
- 基本的なゲーム
- メモ取り・文書作成
- 写真の整理・簡単な編集
実用的な活用法:
- 勉強用ノートとして:GoodNotesアプリとUSB-C Apple Pencilを使えば、紙のノート以上に便利なデジタルノートに
- キッチンでのレシピ表示:防水ケースと組み合わせれば、料理中のレシピ参照に最適
- テレワーク用サブディスプレイ:Sidecarを使えばMacのサブディスプレイとして活用可能
- デジタルフォトフレーム:使わないときは美しい写真スライドショーを表示
私の友人は基本iPadをキッチンに設置し、料理レシピの表示と音楽再生用に使っています。防水ケースに入れているので、料理の最中に手が濡れていても安心して操作できるそうです。
まとめ:シンプルな選択が最適な選択
iPadを選ぶとき、多くの人は「より高いモデルの方が良いに決まっている」と考えがちです。しかし、冷静に自分のニーズを分析すると、基本モデルで十分なケースがほとんどです。
iPhoneやMacなどすでにApple製品を持っている方なら、エコシステムの恩恵を最大限に受けられるよう、まずは基本iPadから始めてみることをおすすめします。必要に応じて将来的にアップグレードすれば良いのです。
私自身、上位モデルを所有していますが、もし今iPadを買い直すなら、特別な理由がない限り基本モデルを選ぶでしょう。その圧倒的なコストパフォーマンスと、日常使いに十分すぎる性能は、多くのユーザーにとって「ちょうど良い」選択になるはずです。